マイクロソフトの新たな調査では、ある組織が的を絞ったガイダンスと共に Copilot を活用し、複雑なタスクを大幅に効率化したことが明らかになりました。
※ 本ブログは、米国時間 公開された “AI Data Drop: Handling Risky Business in Half the Time” の抄訳です。
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ミスがどこでどのように起きたのかを見極められるようにしておくことは、すべての企業にとって重要です。たとえば、銀行の顧客が新しいローンを申請している際、その処理に遅れが発生したとしましょう。顧客は不満を募らせ、その結果、カスタマー サービス担当者が貴重な時間を費やして苦情や問い合わせに対応することになります。こうした遅れが生じる理由を突き止め、問題を解決することは、収益に直接影響を及ぼしかねません。
オーストラリアの金融機関 Bank of Queensland では、数千人の従業員が 140 万人の顧客にサービスを提供しています。こうした組織では、将来大きな損失となるミスを削減するために、見落とされたリスクを特定することがきわめて重要です。そのため同行では、一般的な問題解決の手法を取り入れています。それが根本原因分析です。「このプロセスは、高水準の顧客満足度とオペレーショナル エクセレンスを維持するうえで不可欠です」と、Bank of Queensland のグループ テック パートナー プログラムの責任者を務める Bernadette Demasi 氏は述べています。しかし、これには多くのリソースを要します。マイクロソフトの研究者は同行と協力し、AI がスピードと効率をどの程度向上できるかを調査しました。
調査の結果、AI を使用する際に的を絞ったカスタムのプロンプトを作成して指示を出すことで、収益に悪影響を及ぼす問題の原因を迅速かつ正確に突き止められるようになることがわかりました。
調査方法: 14 人を Copilot にアクセスできる処置群、21 人をアクセスできない対照群としました。被験者は模擬のリスク イベントであるローン承認の遅れを分析するよう指示を受け、可能性のある遅れの原因を特定して列挙する仕事を課せられます。
AI による学習には時間がかかることがわかっているため、的を絞ったガイダンスを提供することで Copilot ユーザーがすぐに成果を上げられるかどうかも確認したいと考えました。処置群には、「ストーリーを語ることを想像してください」といったストーリー形式の回答を促すサンプル プロンプトや、「同僚と一緒にじっくり考えていると想定してください」といった思考過程を説明するよう促すプロンプトなど、特定のタスクを最適化するためのヒントが与えられます。
両群のタスク完了後、調査チームは、分析の質とそれぞれの群が原因を列挙するのにかかった時間を比較しました。
調査結果: Copilot を使用して分析を行った場合、根本原因を 51.8% 速く特定できるという驚くべき結果が出ました。実際、AI を使用して分析を行った被験者の過半数が、AI を使わずに最速で分析を行った被験者よりも短い時間でタスクを完了しました。サンプル サイズが比較的小さいにもかかわらず、処置群と対照群のパフォーマンスの違いは顕著で一貫しているため、この結果は統計的に有意です。
Copilot で銀行員の業務の処理スピードが 2 倍に
マイクロソフトが実施した Bank of Queensland での調査では、Copilot を使用して分析を行った場合、Copilot を使用していない場合よりも 51.8% 速く難しい分析を終わらせることができました。
また、Copilot を使用していない分析の質にはばらつきがあったのに対し、Copilot を使用した分析は一貫して質の高い成果を上げていました。さらに、AI を使用すると、分析の有効性と明瞭さが大幅に向上しました。
調査結果は、AI を使用した場合のエクスペリエンスがはるかに優れていたことも示唆しています。Copilot を使用して分析を行った被験者の 3 分の 1 以上が、Copilot を使用しなかった被験者よりも、タスクの遂行における精神的負担が少ないと感じていました。これは、Copilot がユーザーの認知負荷を大幅に軽減することを表しています。その他の点についても、さらに一貫して良い結果が出ており、処置群の 93% が Copilot によって根本原因分析の質が向上し、分析を完了するための労力が軽減されたことを認めました。Copilot を使用した被験者の全員が、リスク イベントの寄与要因に関する質問に答えるうえで Copilot が役に立ったと考えており、今後 Copilot なしではこの類の分析を行いたくないと答えました。
メリット: 根本原因分析を完了した結果、Bank of Queensland のリスクの特定および管理能力が高まり、Copilot を使用することで同行のアナリストの時間を大幅に節約できました。同行は、1,000 人の従業員に対して Copilot を導入すると、120 人の社員を新たに採用するのと同等に生産性を向上できると見積もっています。「AI を通じて能力を強化すれば、リソースの制約に対処し、チームがより価値の高い業務に集中できるようサポートできます」と、Demasi 氏は述べています。
留意点として、今回の結果は、ガイダンスなしで従業員に AI へのアクセス権を与えるだけでは不十分であることを示しています。優れた成果を上げるためには、チームと協力し、テクノロジの導入方法について的確な指示を与え、既存の枠を超えてそのテクノロジを最大限に活かせるようサポートする必要があります。
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